CELLULOIDS & ANIMATION
STUDIOS

セル画と制作現場

アニメ制作は、
壮大な共同クリエーション!


1つのアニメ作品ができるまでにはたくさんの工程があります。各セクションのスペシャリストたちが、1つの目的に向かってそれぞれのクリエイティブと技術を発揮することで、唯一無二の作品が生まれるのです。

#01

キャラクターデザイン・作画

アニメーションを動かすためのキャラクターや世界観におけるデザイン設計を行って、画面構成のレイアウトを組みながら、アニメの動きの要となる(始まり・中間・終わり)のポイントとなる「原画」と、その間の「動画」を描いていきます。

#02

色彩設計

キャラクターやプロップ・乗り物など、シーン毎に必要となる色を設計して、作品全体にわたって利用される色見本表を作成していきます。作品のコンセプトと監督や演出の意図を汲み取りながら、アニメーションの世界観やイメージをつくる配色やライティングを構成していきます。この設計1つで作品の良し悪しが変わるとも言われる重要な工程となります。

#03

トレス

紙に描かれた原画・動画を、セルに転写していきます。当初は手作業のハンドトレースが行われていましたが、人件費の削減と原画のタッチのクオリティを保つため、トレスマシンが用いられるようになりました。この段階では線画だけをトレスし、次の段階で着色が行なわれます。

#04

仕上げ(色指定・塗り)

「アニメカラー」と呼ばれる専門の塗料を用いて色見本表をもとにシーンに使用する色を作成して、トレスしたセルに彩色を行っていきます。トレスした線画を輪郭や境界線として残すため、セルの裏面に着色します。彩色は多数のスタッフで行うため、色や影のグラデーションを統一、単純化させて段階的に作業を行う「アニメ塗り」という手法が取られていました。

#05

背景

紙と筆を用いた水彩画の様式で、セル画を上に乗せる背景美術を描いていきます。セル画と合成される際に背景とキャラクターがずれてしまったり、背景領域が不足してしまうことを避けるために綿密な画面設計が大切となります。完成した画をスキャンしてセル画を合わせ、連続させることでアニメーションが完成します。

アニメの制作現場を救わなければ、
未来は危うい。


国内だけでなく、世界中でたくさんの人に愛される作品を生み出し続けている日本のアニメ業界ですが、なかなか解決できずにいる課題もあります。それは、アニメの制作現場の経済事情です。アニメ業界の収益は、完成したアニメ作品と、関連グッズ等の販売のみからしか得られていません。多くの制作工程があり、多くの会社が縦に連なって1つの作品をつくっているため、当然、1つの会社、1つの仕事に分配できる資金は限られています。

残念ながら、やりがいのある仕事ではあるけれどそれに見合う給料を得られないというクリエイターたちの苦しい実情もあります。それにより、将来のアニメ業界を担う若い世代が夢を諦めざるを得なかったり、実力と情熱はあっても仕事を続けられないクリエイターも多いということが、大きな課題となっています。

アニメ業界に「プロセスエコノミー」を!
セル画は、その希望になれる。


このセル画ラボの事業は、アニメ業界が直面している深刻な課題を解決する1つの手段にも繋げていけると感じています。かつては中間生産物でしかなく価値を持たなかったセル画ですが、世界では今、セル画の「アート作品としての価値」が高まっています。

セル画ラボは、セル画のNFT販売を行いその利益の一部を制作会社やクリエイターに還元する仕組みを構築する活動にも技術協力をしています。過去のセル画を修復し価値を保つための協力をしたり、今後はアート作品として出品する新たなセル画制作などにも活動領域を広げていく予定です。セル画が「アニメ制作におけるプロセスエコノミー」の第一歩を踏み出し、セル画やアニメを愛するたくさんの方々とともにその価値を高めていくことで、アニメ業界の未来をつくっていきたいと思っています。