WHAT ARE CELS?

セル画とは

30分で4,000枚!
セル画という細胞が、アニメを
生き物にする。


「セル画」とは、セルという透明のシートに描かれた画のこと。 アニメ制作がデジタル化される以前は、紙に手描きされた背景の上に数枚のセル画を重ねて、動きのある部分のセル画のみを差替えながらフィルム撮影し、アニメーション作品をつくっていました。日本アニメでは1秒あたり8~24枚のセル画を連続表示しており、30分のテレビアニメでは1話あたり4,000枚にものぼります。この大量のセル画を、職人が専用の絵具を用いて1枚1枚手描きしていたのです。

「セル画」の命は、専用の絵具。


セル画は、透明のシート(アセテートフィルム)に、セル画専用のビニール系水溶性アクリル絵具で塗られています。面相筆1本で、色ムラなく、筆跡もつけずに塗るという高度な技術が求められるのですが、これは経験を積むことでしか体得できない非常に難しい作業です。しかも同時進行で大量の枚数を塗らなければならないため、絵具が乾く時間の計算もしながら職人技が発揮されていました。

アニメの制作現場で使われていたセル画用絵具は、制作現場では常に400色ほどが揃えられていました。しかし、アニメ制作がデジタル化されたことでこの絵具も手に入らなくなってしまったのです。そこでセル画ラボでは、セル画復活のために、絵具会社とタッグを組んで「絵具を混ぜ合わせて『色』をつくる」というところから大きな挑戦を始めています。

2003年、日本アニメを育てた
「セル画」との別れ。


セル画を用いてアニメーションを作成する技法は、1914年にアメリカで誕生したと言われています。この技法は世界中に普及し、アニメが人々の日常の中で楽しまれる世の中をつくっていく立役者となりました。しかし時代の流れとともに、アニメ制作にもデジタル化が訪れます。各国が続々とデジタルに移行する中で、独自の進化を遂げながら最後まで手描きのセル画を大切にしてきた日本においても1990年代からデジタル化が進み、2003年に完全移行。これにより、セル画そのものも、その制作技法も、姿を消していくこととなりました。