THE BEAUTY OF CELS

セル画の魅力

「セル画の魅力」は体感してこそ、
知ることができる。


日本のアニメ界には、素晴らしい技術を持った職人がたくさんいます。そんな人たちが100人、200人と力を合わせて、1本のアニメ作品ができています。自分がつくりたいものをつくるのではなく、みんなで1つのものをつくりあげる。日本人特有の協調性を発揮しながらも、クリエイティブを追求し、形にする。それをずっとやり続けて、日本のアニメは進化をし続けています。

その1カット1カットが積み重なってアニメができていて、かつてはそれが「セル画」という1枚1枚に時間をかけて手描きされたものでした。制作者には、その1枚ごとにものすごい想い入れがあります。その想いと技術がつまったアニメの一部を、現実的に「手に持てる」。それこそが、「セル画」の大きな魅力です。

セル画ならではの、色合い、発色、質感。そして、人の手仕事によるぬくもり、情緒感。その美しさは、言葉で語るよりも、実物を見ていただくのが一番説得力があるでしょう。

セル画の「裏側」に、職人あり。


私たちは普段、セル画の「表」を見ています。ですが、セル画の色つけはセルシートの裏側から塗られており、表から見た時に上にくるパーツから順番に、つまり最前面から最背面の順という通常とは「逆」の手順で色を塗り重ねているのです。セル画は筆のタッチを出さないことが美しい画になるポイントです。色ムラや気泡が入ったりもしないよう、熟練の技術と丁寧な作業が求められます。普段見ることのないセル画の裏側を見ると、表のつややかな仕上がりとは裏腹に、塗り重ねられた絵具の盛り上がりや、人の手で塗られているということが実感できる人間味のようなものが感じられます。

アニメのクリエイティブを豊かにする、
様々なセル画の技法。


セル画にも、作品の世界観や表現したい画に合わせて様々な技法があります。その1つが、「ハーモニーセル」。通常セル画は、輪郭線の中をセル画専用の絵具を使ってべた塗りでキャラクターの色つけを行います。しかし、ハーモニーセルではセル画には輪郭線のみ。背景画の中に、輪郭線なしで色付きのキャラクターを描きます。こうすることで、キャラクターの色を水彩絵具などで塗ることができるので、グラデーションや滲みなど、セル画では塗ることのできないタッチでより繊細な色彩表現を可能にします。こうした様々な技法を使い分けることで、魅力的で個性あふれるアニメ作品がつくられています。